土木学会関西支部認定土木遺産の候補募集(公募)についての募集要項を掲載


土木遺産を巡ってみませんか?
 
◇土木遺産とは?
 土木遺産とは、現存する明治時代から昭和の初期につくられた生活基盤施設のことで、それらの多くは先人の偉大な発想や様々な苦労の末につくられ、私たちの生活に大いに役に立ちました。もちろん、今も現役でがんばっているものもありますし お役ご免でそのまま残されているもの、歴史的に文化財として保存されているものもあります。それらは、新たに人々の交流や物流を生み出し、地域産業の発展や生活文化の形成に大きな影響を与え、私たちの暮らしを支え続けてきました。こうした歴史的に国土や地域に貢献した土木施設を我々共有の財産と位置づけ、”どぼくいさん”と呼んでいます。
 
◇土木遺産を選奨する活動の紹介

 活動の主体となっているのは、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指して、1914年に社団法人として設立された土木学会という技術者コミュニティです。

  土木学会では、施設ができた当時のすばらしい技術や知恵、あるいは多くの人たちの努力を顧み、敬意を表して、これらを私たち共有の財産として評価し、保全・活用を図るための活動を行っています。

  その主な活動として、選奨土木遺産という表彰制度があります。これは、歴史的土木構造物の保存に資することを目的として創設された制度で、平成12年度より各支部からの推薦に基づいて、銘板と認定書の授与を行っています。また、これらの活動を通じて以下の3つの事項が促されることも期待しています。
(1)社会へのアピール
 土木遺産の文化的価値の評価、社会への理解等
(2)土木技術者へのアピール
 先輩技術者の仕事への敬意、将来の文化財創出への認識と責任の自覚等の喚起
(3)まちづくりへの活用
 土木遺産は、地域の自然や歴史・文化を中心とした地域資産の核となるものであるとの認識の喚起



2003(H15)年に選奨された柳ヶ瀬隧道 敦賀側の入口付近に設置された銘板(左)と認定書(右)

 
 
◇関西の土木遺産
 これまでに選奨された関西支部管内の施設は以下の通りです。
名称 所在地 完成年 選奨理由 MAP
リンク
三国港エッセル堤 福井県坂井郡三国町 1882 設計エッセル、施工デ・レーケによる粗朶沈床工の防波堤で、水制とともに導流機能も果たした明治初期を代表する港湾施設である。
柳ヶ瀬隧道 福井県敦賀市刀根〜
滋賀県伊香郡余呉町柳ヶ瀬
1884 明治17年完成当時日本最長(1,352m) で、黎明期の技術進歩に大きく貢献し た。今も使用中では2番目に古いトンネ ルである。
南郷洗堰 滋賀県大津市南郷町 1905 淀川改良事業の要として造られた戦前最大の煉瓦可動堰。
オランダ堰堤 滋賀県大津市上田上桐生町 1889頃 明治15年デ・レーケ指導田邊義三郎設計とされる切石布積みアーチ式堰堤。関西治水史上重要な淀川水源地田上砂防施設群の一つ。
新逢坂山トンネル 滋賀県大津市逢坂〜藤尾奥町 1919  大正10年に両トンネルを経由する大津〜京都間の新ルートが完成し、勾配緩和、曲線改良により、輸送力と速度の向上に貢献した。
東山トンネル 京都府京都市山科区 1921
阪急大宮駅と大宮・西院間の地下線路 京都府京都市中京区 1931 東京の銀座線に次いで全国で2番目、関西初の地下路線と地下ホーム。
琵琶湖疏水の発電所群     明治期最大の土木事業の1つである琵琶湖疏水の関連施設。
 
 蹴上発電所 京都府京都市左京区 1891 ルネサンス調の大胆なアーチ模様のデザイン。
 夷川発電所 京都府京都市左京区 1914 ネオ・ルネサンス洋式の装飾的な建屋。
 墨染発電所 京都府京都市伏見区 1914 最初期のRC発電所(現存中3番目に古い)。
梅小路機関車庫 京都府京都市下京区 1914 大正3年設置以来、日本の近代化と復興・成長を支えた蒸気機関車の歴史を伝え、動態保存された世界最大級の蒸気機関庫である。
大川・中之島の橋梁群     第一次大阪都市計画事業に よって大川・中之島一帯に架 けられた5橋 (当時最大スパンの鋼アーチ、戦前の三大カンティレバ 橋の一つ、景観に配慮した三 連アーチ、戦前では珍しいデ ザインの一般公募の優勝作品)。
 
 桜ノ宮橋 大阪府大阪市北区〜都島区 1930
 天満橋 大阪府大阪市北区〜中央区 1935
 天神橋 大阪府大阪市北区〜中央区 1934
 大江橋 大阪府大阪市北区〜中央区 1935
 淀屋橋 大阪府大阪市北区〜中央区 1935
御堂筋 大阪府大阪市北区〜中央区 1937 第一次都市計画事業で造られた大阪の都市軸である御堂筋は、道路インフラ整備の優れたプロトタイプとして位置づけられる。
御坂サイフォン 兵庫県三木市志染町御坂 1891 イギリス人パーマー氏設計による日本初のサイフォン橋で、明治24年以来現在も淡河川疎水の一部として東播磨台地を潤している。
旧神戸外国人居留地 下水渠 兵庫県神戸市中央区 1869 外国人居留地特有の卵形煉瓦下水渠が視認できる形で保存・展示。
友ヶ島砲台群     フランス式布陣の5箇所の砲台から成り、発電施設など当時の最先端科学技 術の粋を結集し、それを今に伝える貴重な文化財である。
 
 友ヶ島第二砲台 和歌山県和歌山市 1898
 友ヶ島第三砲台   和歌山県和歌山市 1892
 主な関西の土木遺産について、写真とともにご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい。
 
◇土木遺産を訪れてみませんか?
 これまでに選奨されてきた土木遺産を訪れ、当時の技術のすばらしさなどを感じてみてください。あなたの住む街になにげなく存在してきた「古い施設」が街の歴史を物語る大切な「遺産」として再発見できるかも知れません。

  今回、選奨土木遺産関西支部推薦委員会では、土木学会全国大会が2006年9月に立命館大学で開催されることにあわせて、一般市民の方を対象に京滋周辺の土木遺産めぐりマップを作成しました。土木遺産巡りにご活用ください。

 また、全国から学会に参加される方には、会場においてちょっと寄り道 近場の土木遺産めぐり〜京滋編〜 パンフレットを限定で配布しています。


   一般向け土木遺産めぐりマップ 印刷用[PDF 54k]  学会員向けパンフレット[PDF 3.8MB]     

 
◇一緒に大切にしていきましょう!

 みなさんのまわりにも、きっと当時の生活を偲ばせるような施設があると思います。そのような施設を、
 ・いつまでも利用できるように施設を応援してみたくなりませんか
 ・その施設が国や古里の何に役立ったのか、じっくり考えてみませんか
 ・地域固有の財産として「まちづくり」に活かしてみませんか
 ・今はお役ご免で残された施設をうまく利用することを考えてみませんか
 このようなことが、地域やまちを大切にしていくきっかけになれば幸いです。


 
◇関連LINK
 ◇土木學曾選奨土木遺産 ◇日本の近代土木遺産 ◇土木学会
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お問い合わせ先:推薦委員会調査部会

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