2009年度「小中学校教職員対象『防災・危機管理』研修会」開催報告

開催風景アンケート結果(PDF A4 3頁 約292KB)

タイトル 「小中学校教職員対象『防災・危機管理』研修会」
主催 土木学会関西支部
共催 京都府,京都大学防災研究所流域災害研究センター
後援 神戸市教育委員会
日時 2009年7月31日(金)8:30〜17:00
参加者数
19名

 土木学会関西支部市民幹事会では、将来の社会を担う子供たちに、暮らしを支えている社会資本整備や災害のメカニズムなどを伝えることは重要と考え、土木と学校教育とをつないでいく取り組みとして、学校教育に携わる教職員の方を対象に、平成21年度の小中高生対象見学会と同日、『防災・危機管理』をテーマに、初めて開催しました。見学及び講義について、以下に報告いたします。

 京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー
  ≪浸水体験≫
 今回の研修会では、京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリーにおきまして、実物大階段模型及びドア模型を用いた浸水体験を行いました。実物大階段模型は、地下街での浸水被害を想定したもので、水が流下してくる階段での避難の困難性を体験するためのものです。今回は、水深を30cmとして体験させていただきました。今回の体験装置では、手すりや照明があることから全員が無事に上がることができましたが、実際の浸水現場で、手すりが無く停電している状態を考えると、地下街からの避難が困難であることが理解できました。また、ドア模型は、ドアの反対側に水がある場合、水圧でドアが開かなくなることを体験するためのものです。今回は、水深を20cm〜40cmまで10cmづつ上げていただき、その違いを体験させていただきました。水圧の意外な強さに驚きました。

  ≪「防災・危機管理」講義≫
 昨年7月の神戸市都賀川増水事故の調査団長を務められた、神戸大学の藤田一郎教授から、同様の災害が過去から世界中で発生していること、また近年は地球規模での気象の変化とも関連して多発する傾向にあることや、神戸の地形的特徴に起因する水害の歴史、今回の事故を教訓とした川での正しい遊び方など河川災害から身を守るために知っておくべきことについて、講義していただきました。
 いずれも、水害の恐ろしさについて見聞きするのみでなく、体験を通して理解できたことはもちろんですが、このような災害が身近に起こりうることと、危険が迫る前に安全確保を図る意識の大切さを学んだことにも、大きな意義があったと思います。

 京都府流域下水道いろは呑龍トンネル
 いろは呑龍トンネルは、ハイブリット親子シールドによる長距離掘進工法を採用したことにより、平成20年度土木学会関西支部技術賞を受賞した施工物件です。見学先は、乙訓ポンプ場から約25mの階段を降り、直径6.1mの管路内約200mを歩きました。普段目にすることのない地下に、このような巨大な施設があったことに驚きを感じると同時に、自分たちの町を水害から守るためにこのような仕組みが施されていることを知ることが出来ました。また、管路内ではいろは呑龍トンネルに関するクイズも行われ、楽しみながら水害対策について知ることが出来ました。現場事務所においては、シールド工法の説明をしていただき、スケールの大きい土木構造物を目の当たりにし、高度な土木技術について知ることが出来ました。

 京阪電鉄淀駅の高架化工事現場
 鉄道の高架化について、パワーポイントとプラレール実演を併用したわかりやすい説明を行っていただき、鉄道と道路の立体交差化によって、踏切事故の解消や渋滞の解消に大きな効果があること、 工事においては電車を止めずに、かつ道路通行止めを最小限とするための努力と工夫があることを知ることが出来ました。また、工事現場においては、ホームから線路に下ろしていただき、ホームは思っていたよりも高いことを体験することが出来ました。
 以上、盛りだくさんの見学により、災害から町を守り、住み良いまちをつくる為に、土木が大切な仕事であることを知ることが出来、また普段目にすることのないところに多くの工夫が凝らされていることを知ることが出来ました。

参加者のみなさんへ
 この度は、土木学会関西支部小中学校教職員対象『防災・危機管理』研修会にご参加いただき、誠にありがとうございました。皆様のご協力により、無事に見学会を終えることができました。心よりお礼申し上げます。
 皆様には、本日の研修会をきっかけとして、災害時には防災拠点や避難場所にもなる学校現場で、日頃からいろんな機会をとらえて、防災や危険予防について児童・生徒のみなさんと一緒に考えていただくとともに、道路や川、上下水道、港、鉄道など身近にあるさまざまな社会基盤施設には、素晴らしい土木技術が活かされていることを、一人でも多くの児童・生徒に伝えていただければ、と願ってやみません。
 このような研修会は当支部でも初めての試みでもありましたので、アンケートで頂戴した貴重なご意見は、今後の企画運営のみならず、「教員免許更新講習」等とタイアップしたより発展的な実施に向けた検討の参考にさせていただきます。今後もさまざまな行事を開催する予定ですので、ぜひご参加いただければと思います。

見学先関係者のみなさんへ
 今回の研修会の開催に当たり、京都大学防災研究所流域災害研究センター様、京都府様、京阪電気電鉄株式会社様には、さまざまな面でご協力をいただきました。また、当日ご説明いただいた皆様には、丁寧でわかりやすいご説明をいただきました。本当にありがとうございました。
 参加者の皆様へのアンケートをおこなった結果、感想として「とても良かった」が84%、「良かった」を含めると100%と、たいへん好評をいただきました。また、研修内容を今後の授業に活用できるかどうかについても「できる」が42%、「なんとかできそう」を含めると89%と、多くの皆様に理解していただくことができました。
 今後とも、土木学会関西支部行事へのご理解とご協力をいただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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