土木学会関西支部市民幹事会では、将来の社会を担う子供たちに暮らしを支えている社会資本整備や災害のメカニズムなどを伝えることが重要と考え、土木と学校教育とをつないでいく取り組みとして、学校教育に携わる教職員の方を対象に講習会を開催しています。
●『通学路地震ハザードマップの作成レシピ』(主催:国立大学法人 兵庫教育大学、共催:(社)土木学会関西支部)
●『いのちを守る建物耐震技術』(主催:国立大学法人 兵庫教育大学、共催:(社)土木学会関西支部)
●『環境と防災』(主催:立命館大学)
『通学路地震ハザードマップの作成レシピ』 アンケート結果(PDF A4 2頁 約263KB) | |||||||||
開催日時 | 平成23年8月4日(木) | ||||||||
場 所 | JICA兵庫、人と防災未来センター | ||||||||
主 催 | 国立大学法人 兵庫教育大学との共催 | ||||||||
対 象 者 | 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教職員39名 | ||||||||
講 師 | 鍬田泰子(神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻 准教授)
宇田川真之(人と防災未来センター 研究員) |
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JICA兵庫
≪講義≫ 神戸大学の鍬田先生より「兵庫県周辺の地震の揺れ」と「地震による被害想定」というテーマで講義をしていただきました。まず地震発生のメカニズムや地震の揺れについての基礎的なことに加えて、兵庫県南部地震以降に進んだ全国的な地震観測網の整備や、断層帯の長期評価研究の説明がありました。さらに、兵庫県周辺の地震動活動状況や被害想定で考えられている地震などや、ハザードマップの基礎資料となる自治体の地震被害想定の項目やその推定方法などについての説明がありました。テキストには東日本大震災の資料も含まれており、南海地震に備えて津波や液状化、学校等への被害についての説明もありました。 人と防災未来センターの宇田川先生より「防災情報とハザードマップ作成方法」というテーマで講義をしていただきました。まず、最近の災害事例に基づき、地震の他に、洪水などの水害から避難するときに注意すべきことのアドバイスをいただきました。次に、兵庫県内の高校で防災学習としてハザードマップを作成した事例についての紹介がありました。高校生と小学生が協力した「まちあるき」や、ハザードマップを利用した学生のビデオ作成など、実践的な防災学習に様々な工夫がされていました。 ≪演習≫ 紙地図を使ったハザードマップ作成方法について説明を受けた後、公開されている兵庫県内のハザードマップの取得方法や活用方法についてガイダンスを受けながら、受講者がパソコンを操作してハザードマップを表示しました。受講者は自分の学校周辺における洪水や津波などの危険地域を認識するとともに、簡単に航空写真などと組み合わせてみることができ、危険な地域について理解を深めました。受講者間でそれぞれの学区のハザードマップを見比べることで、地域によるハザードの違いについてもディスカッションをしました。さらに、高度なハザードマップの利用例として、まちあるきで児童・生徒が集めてきた情報や公開ハザード情報をGIS(地理情報システム)上で重ね合わす方法等の説明を受けました。 人と防災未来センター ≪見学≫ 人と防災未来センターでの見学の前に、センター職員の方から小中学校の学外見学先としてセンターを利用する場合のオリエンテーションを聴きました。センターでは阪神大震災の経験と教訓をわかりやすく展示されている他に、センター研究員による防災セミナーや報道機関記者による災害での映像を使った講義が児童・生徒対象の防災学習プログラムとして用意されており、別途申請すれば受講できる説明がありました。さらに、東日本大震災を受けて、センターでは震災から1ヶ月後の被災地の映像を特別上映しており、受講者の多くは見学中にこの映像も観ました。 | |||||||||
講座の様子 |
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『いのちを守る建物耐震技術』 アンケート結果(PDF A4 1頁 約235KB) | |||||||||
開催日時 | 平成23年8月17日(水) | ||||||||
場 所 | 兵庫県広域防災センター、防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス) | ||||||||
主 催 | 国立大学法人 兵庫教育大学との共催 | ||||||||
対 象 者 | 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教職員38名 | ||||||||
講 師 | 藤永 隆(神戸大学都市安全研究センター 准教授) | ||||||||
兵庫県広域防災センター
≪講義≫ 藤永先生からは、地震の揺れから構造物を、さらには人の命を守るための耐震・免震・制震構造の特徴について説明していただきました。さらに、小中学校で設置されているブレースなどの様々な耐震補強技術について紹介していただきました。東日本大震災において耐震補強していた小学校と耐震補強していなかった小学校の事例を紹介していただき、耐震補強している小学校では被害がなかったことも示していただきました。次いで、小中学校で導入可能な防災教育教材として、液状化実験や「紙ぶるる」(名古屋大福和先生)、幸せは運ぼう(神戸大学CD)について紹介していただきました。 演習では、紙ぶるるの建物模型を受講生が各自作成し、ゆっくり揺すったり、早く揺すったりすることで建物模型の揺れが異なることを確かめたり、筋交いブレースで模型の揺れ方が変わることを確認しました。藤永先生からは模型を使い方によって免震構造を表現することのヒントもいただきました。 ≪見学≫ 兵庫県広域防災センターの田中様から、広域防災センターの施設の防災上の役割や消防職員の教育訓練施設として利用されていることを説明していただきました。さらに、陸上競技場のスタンド下の備蓄倉庫を見学させていただき、毛布や食糧、テントや救助用具が数多く備蓄されていることが分かりました。センターの耐熱・耐煙訓練室(模擬煙が充満した迷路)では、避難体験をしました。受講生の2割程度しか迷路をクリアできず、他の受講生は出口が見つからず暗闇の迷路の中で助けを待っていました。水蒸気でしたが、火災時の煙の恐ろしさを実感できる施設でした。また、起震車に乗って兵庫県南部地震や昭和21年の南海地震、想定されている山崎断層地震の揺れを体感することができました。 防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス) ≪見学≫ 防災科学技術研究所の中山様からは、地震時の構造物の安全性や機能性について検証するために建設された、実大・三次元・破壊できる震動台、E-ディフェンスについて紹介していただきました。これまでの振動台の種類や歴史とともに、これまでE-ディフェンスで取り組まれた実験の様子を見せていただいた。E-ディフェンスでは、現在載荷実験している実験構造物を見学でき、さらに800トンの震動台を稼動させるためのポンプ等の施設内機器についても見学させていただきました。 | |||||||||
講座の様子 |
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『環境と防災』 アンケート結果(PDF A4 1頁 約258KB) | |||||||||
開催日時 | 平成23年8月12日(金) | ||||||||
場 所 | 立命館大学びわこくさつキャンパス ローム記念館 | ||||||||
主 催 | 立命館大学 | ||||||||
対 象 者 | 小学校、中学校、高等学校の教職員35名 | ||||||||
講 師 | 市木敦之(立命館大学 環境システム工学科)
伊津野和行(立命館大学 都市システム工学科) 里深好文(立命館大学 都市システム工学科) 建山和由(立命館大学 環境システム工学科) | ||||||||
≪講義≫ 講義の始めに、伊津野先生より滋賀から京都へと続く琵琶湖疏水の歴史とともに、社会基盤としての役割について説明していただきました。受講希望者が増えたため、A、Bの2班体制でそれぞれの講義を分かれて受講しました。 伊津野先生からは、まず自然と人々の生活が交わるところで自然災害が発生していることを説明していただきました。また、日本では地震や水害による死者が多いこともわかりました。次に、琵琶湖疏水の南禅寺水路閣だけでなくローマ時代からアーチ構造の橋や水道橋が建設されていたことを紹介していただきました。発砲スチロールブロックを組み立てたアーチ構造の橋の上に人が通っても壊れないことを実験で見せていただきました。トラス構造については、配布されたパーツで模型を作成し、三角形にすると四角形よりも変形に強くなることがわかりました。免震や制震構造については、日常生活の中で使用されているダンパーや美術工芸品の下に設置された免震装置などを紹介していただきました。 里深先生からは、土石流のしくみと砂防ダムの役割、河川堤防の破壊メカニズムを水路模型で実演していただきました。はじめに土石流が発生するメカニズムを紹介していただき、砂防ダムがない場合、ある場合、櫛型ダムがある場合によって土石流による氾濫範囲が異なることや、小さな土石流には影響のない程度に土砂を流すことのメリットなどを説明していただきました。河川堤防の模型を用いて河川水位が越水したと同時に崩壊が進むことを実演していただき、水害時の避難のポイントや土嚢の役割についても教えていただきました。 市木先生からは、浄水場における凝集沈殿処理を実験室で実演していただきました。まず、水道原水に含まれる濁質物質はその粒径によって沈降時間が異なるので、非常に粒径の小さい物質を早く沈殿させるために凝集剤を使っていることを説明していただきました。実験では模擬水道原水に異なる量の凝集剤を入れて攪拌すると、濁度の異なる水ができあがりました。凝集剤が多くても必ず濁度が除去されず、水のpHによって適切な凝集剤の量があることを説明していただきました。 建山先生からは、液状化の発生メカニズムを実験とともに説明していただきました。始めに新潟地震や東日本大震災でみられた液状化の被害とともに、液状化の発生メカニズムについて紹介していただきました。砂が入った水槽に揺れを与えるだけで、砂の粒子同士のかみ合せが外れ、急に水が噴出してくると受講生からは驚きの声が出ました。また、お弁当箱サイズのプラスチックケースでも砂と模型を置くことで手軽に液状化によるマンホールの浮上や建物の沈下を再現できることを紹介していただきました。 | |||||||||
講座の様子 |
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