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【大 賞】 明石海峡大橋の建設 |
本州四国連絡高速道路株式会社 |
【特別賞】 高齢者・障害者を含めたすべての人にやさしい阪急伊丹駅の誕生 |
阪急電鉄株式会社 |
【特別賞】 水と土砂を流すトンネル −安定した電気と川の健康のために− |
関西電力株式会社
株式会社ニュージェック |
【特別賞】 史上最大規模の高架切替 (地域の想いの結実) |
兵庫県 |
【特別賞】 世界で初めて成功させた地下鉄用の四角形トンネル |
京都市交通局
鹿島建設株式会社 中央復建コンサルタンツ株式会社 |
【特別賞】 大阪の地下鉄ネットワークを支えるシールド技術 |
大阪市交通局鉄道技術本部工務部 |
【大 賞】 寝屋川市における川づくり・まちづくり (寝屋川親水空間整備事業・幸町公園計画策定・茨田樋遺跡水辺公園整備他) |
ねや川水辺クラブ
寝屋川市 大阪府枚方土木事務所 |
【特別賞】 「芥川 ひとと魚にやさしい川づくり」 (愛称:芥川倶楽部) |
芥川倶楽部
高槻市 大阪府都市整備部河川室 大阪府茨木土木事務所 |
【特別賞】 一般国道480号外 リフレッシュ活動 (府民と協働した美化活動) |
和泉市父鬼町会、大野町会、側川自治会、春木川町会、若樫町会、坪井町会
和泉市 大阪府鳳土木事務所 |
【特別賞】 県土を学ぼう!キッズプロジェクト 丹波市立遠阪小学校「さぐろう遠阪の道 〜むかし、今、これから〜」 |
丹波市立遠阪小学校
兵庫県丹波県民局県土整備部柏原土木事務所 |
【奨励賞】 二級河川陶器川 親しみとふれあいの創造 |
堺市中区小阪西町自治会
大阪府鳳土木事務所環境整備グループ |
【奨励賞】 市民とともにまもり育てる狭山池 〜狭山池ダムと狭山池博物館〜 |
大阪府都市整備部河川室 |
【奨励賞】 地域の特性を活かした水辺空間づくり (唐川ふるさと砂防事業) |
唐川ホタルを守る会
太子町建設部建設農林課 |
【市民が選ぶ土木の技術部門 大賞】 明石海峡大橋の建設 | |
本州四国連絡高速道路株式会社 | |
神戸市と淡路島との間にかかる明石海峡大橋は、水深が深く潮流も早いうえ国際航路であり通る船が多い明石海峡を渡る世界最大の吊橋であり、非常に厳しい自然条件、社会条件のもと、水中でも分離しないコンクリートや世界最高強度の吊橋ケーブルを開発して使用するなど、高度な技術を駆使して困難を克服した。 開通により、神戸・徳島間の交通の大幅な時間短縮が実現し、開通後現在までに約8,500万台の車両の利用と、公共交通機関である路線バスの大動脈として年間720万人の利用がある。また、毎日イルミネーションを点灯したり、塔頂体験ツア−「ブリッジワールド」を実施しこれまでに18,000人もの市民が参加するなど、橋そのものが魅力ある土木施設として市民に深く浸透している。 本業績は、開通に伴う交通利便性の向上による経済効果や新たな観光資源としての価値など社会貢献の程度が高いこと、世界最大規模の土木施設を積極的に市民に公開するとともに世界最先端の高度な技術を平易な言葉で市民にわかりやすく伝えるなど、市民へのアピールの程度が高いこと、また市民投票においても最も多くの票を集めていることから、大賞に値するものとして高く評価された。 |
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明石海峡大橋(淡路SA上空より) | |
“明石海峡大橋の建設”のより詳細な説明を見る |
【市民が選ぶ土木の技術部門 特別賞(社会貢献)】 高齢者・障害者を含めたすべての人にやさしい阪急伊丹駅の誕生 | |
阪急電鉄株式会社 | |
1995年1月の阪神淡路大震災で全壊した阪急伊丹駅は、復興にあたり、国土交通省より「アメニティターミナル整備事業」のモデル駅に選定された。これまでの駅施設の福祉的整備水準を超えるモデル駅実現のため、「高齢者・障害者を含めたすべての人に優しい駅づくり」をテーマに、高齢者・障害者などが参画する委員会で議論し、利用者の要望を徹底把握・分析し、(1)移動しやすいこと、(2)わかりやすいこと、(3)行きやすいこと、(4)人の手と温もりがあることの4つの基本方針をたて、実施可能な内容についてはできる限り計画に反映する方針で整備を行った。また、整備後には事後評価を行った。当事業での手法は、当時としては画期的であり、「バリアフリー法」制定に先立つ先駆的事例となった。
本業績は、移動制約者(高齢者・障害者)当事者参画の委員会で駅施設の計画・設計を推進したという点で当時全国的に画期的な手法であったこと、交通バリアフリー法施行前の先駆的モデル駅になったこと、施設・設備が充実し震災復興のシンボルとして地域の人にとって親しみやすいものとなっていることなど、その社会貢献の程度が高いことが、特別賞に値するものとして高く評価された。 |
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アメニティターミナル阪急伊丹駅 | |
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【市民が選ぶ土木の技術部門 特別賞(社会貢献)】 水と土砂を流すトンネル −安定した電気と川の健康のために− | |
関西電力株式会社 株式会社ニュージェック | |
この事業は、ダム湖に貯まる土砂を下流へ流すための、いわばダムを迂回した水と土砂を流すトンネル事業である。関西電力奥吉野発電所(揚水式)の下部ダムとして建設された旭ダム(奈良県十津川村、昭和53年完成)では、ダム上流域の崩壊地拡大により、濁った水が長期間続いたり、ダム湖に土砂が溜まったりして問題となっていた。これらの問題への抜本的対策として、出水時にダム湖に流入する濁った水、土砂をダム湖の上流端からトンネル(長さ2,350m)により下流へ迂回させる、日本初の本格的な排砂バイパス設備を建設し、平成10年4月より運用を開始している。この排砂バイパス設備の運用は、ダム湖へ土砂が溜まるのを防ぎ、貯水容量を確保して電力を安定供給することや、ダム下流へ土砂を供給することによる河川環境の健全化に貢献している。 本業績は、日本初の本格的な水と土砂を流すトンネルを設置することで河川環境の健全化が図られ、環境と技術の調和した先進的な事例であること、その効果を「川の健康づくり」という言葉や写真・図でわかりやすく表現していることなど、その社会貢献の程度が高いことが、特別賞に値するものとして高く評価された。 |
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運用中の「水と土砂を流すトンネル」吐口部の様子 | |
“水と土砂を流すトンネル −安定した電気と川の健康のために−”のより詳細な説明を見る |
【市民が選ぶ土木の技術部門 特別賞(社会貢献)】 史上最大規模の高架切替 (地域の想いの結実) | |
兵庫県 | |
「平成の築城」とも言われるこの事業は、姫路市中心部を分断しているJR山陽本線等の6.6qの鉄道を高架化し、南北道路を整備するものである。この事業により市街地の慢性的な交通渋滞の解消を図るとともに、基地跡地を活用した新しい魅力的な都心再生を行うプロジェクトである。播磨地域の長年の念願で、構想から33年、事業着手から17年を経て、事業の大きな節目である山陽本線の高架化が完了した。 この高架切替は、JR山陽本線、山陽新幹線、山陽電鉄線が相互に交差している箇所での複雑な切替工事を含め、同時に9箇所、4日間にわたる史上最大規模の高架切替工事となることから、市民生活に与える影響を最小限にするために、関係機関との入念な調整を行い、切替計画を策定した。 切替時には、一部列車運休が生じるとともに、主要県道では跨線橋の平面化に伴い、約35時間の通行止が生じることとなった。しかし、市民から切替に際して苦情もほとんどなかったことから、市民の事業への期待の大きさが再認識された。 本業績は、前例のない大規模高架切替工事を、多様なセクタ−をまとめて綿密な工程管理の下無事故で完了し、交通影響の最小化が図られたこと、事業の趣旨が市民に理解され、地域の想いの結実した事業として市民の協力を得ながら円滑な事業進捗が図れていることなど、その社会貢献の程度の高いことが、特別賞に値するものとして高く評価された。 |
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山陽新幹線、山陽電鉄本線、JR山陽本線の相互交差箇所での複雑な切替箇所 | |
“史上最大規模の高架切替 (地域の想いの結実)”のより詳細な説明を見る |
【市民が選ぶ土木の技術部門 特別賞(市民へのアピール)】 世界で初めて成功させた地下鉄用の四角形トンネル | |
京都市交通局 鹿島建設株式会社 中央復建コンサルタンツ株式会社 | |
京都市地下鉄東西線の六地蔵駅〜石田駅間において、地下鉄トンネルでは世界で初めて四角形トンネル(矩形シールド)が採用された。採用によって、(1)開削区間を大幅に短縮できる、(2)円形に対し六地蔵駅も含めたトンネル(軌道レベル)を3m浅くできるので乗客の利便性向上に貢献できる、(3)駅を含めた事業費でコスト削減が可能であり、さらに掘削土量の減少により環境への影響も低減できる等のメリットが得られた。 本業績は、世界初の地下鉄用四角形トンネルを採用した理由について、(1)なぜ円形でなく四角形トンネルを採用したか、(2)円形に比べて四角形トンネルはどんな難しい問題があるのか、(3)問題を解決できた技術は何なのかといった順序で、できるだけ市民にわかりやすい表現で説明し、市民が普段利用しているにも拘わらず直接見る機会がほとんどない地下鉄トンネルにおいて最先端の技術が駆使されていることを紹介するなど、その市民へのアピールの程度の高いことが、特別賞に値するものとして高く評価された。 |
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四角形トンネルを走行する東西線 | |
“世界で初めて成功させた地下鉄用の四角形トンネル”のより詳細な説明を見る |
【市民が選ぶ土木の技術部門 特別賞(市民へのアピール)】 大阪の地下鉄ネットワークを支えるシールド技術 | |
大阪市交通局鉄道技術本部工務部 | |
大阪の地下鉄は、概ね1回乗換により市内のあらゆる目的地へ到達できるよう、都心部で格子状、周辺部で放射状のネットワークを形成している。現在、地下鉄8路線129.9km、ニュートラム7.9kmにより1日236万人に利用されており、まさに都市の大動脈としての機能を果たすとともに、自動車交通の抑制による環境の改善や地域のまちづくりにも役立っている。 その大阪の地下鉄整備において、シールド工法が果たしている役割は極めて大きく、1964年に谷町線天満橋〜谷町4丁目間で始めて採用されて以降、大阪の地下鉄建設を支え、「安全で、早く、経済的」な工法の特徴から、工期短縮や建設費の削減にも大きく寄与し、現在の路線延長のうち、全体の約3割でシールド工法が用いられている。また、シールド技術の向上に伴い、これまで地下鉄を入れることができないような狭隘な地下空間への建設や、世界初3連MFシールドによる駅の築造、さらには、矩形シールドにより連絡通路を作るなど、シールド技術の活躍の場はますます広がっている。 本業績は、日々進化する様々なシールド技術がネットワーク全体で1日235万人もの人に利用されている地下鉄で活躍していること、市民に技術をわかりやすく説明しているシールド工法のビデオを作成し販売していることなど、その市民へのアピールの程度の高いことが、特別賞に値するものとして高く評価された。 |
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地下鉄ネットワークとシールド技術 | |
“大阪の地下鉄ネットワークを支えるシールド技術”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 大賞】 寝屋川市における川づくり・まちづくり (寝屋川親水空間整備事業・幸町公園計画策定・茨田樋遺跡水辺公園整備他) | |
ねや川水辺クラブ 寝屋川市 大阪府枚方土木事務所 | |
平成13年、寝屋川市制50周年を機に、市のシンボルである一級河川寝屋川を自然豊かで市民に親しまれる空間へと再生するため、市民と行政との協働による「寝屋川再生ワークショップ」が設立、1年かけて「寝屋川再生プラン」が策定された。計画から設計工事実施に至るまで3年にもわたる市民と行政のキャッチボールを経て、平成17年4月,寝屋川駅前の親水空間づくりとして「寝屋川せせらぎ公園」が完成した。プランの実現に際しては、ワークショップメンバーがさらに多くの市民に呼びかけ「ねや川水辺クラブ」を結成し、市民啓発も兼ねた清掃活動等「川の市民活動」を積極的に展開している。 この取り組みは、地域全体の川を活かしたまちづくりへと波及し、さらに多くの市民が参画しながら各地で繰り広げられている。寝屋川上流部では「子供達が水遊びや環境学習の出来る空間づくり」を目指し、学生や子ども達も参加するワークショップでの議論の末、緩傾斜で川まで降りることができる「幸町河川公園」(平成20年度完成予定)の整備に至った。また、市内西部でかつて淀川から取水していた土木文化遺産ともいえる樋門跡を市民水辺空間として復元する「茨田樋遺跡水辺公園」(平成19年4月完成)の整備を、専門的な基礎工事を除いて市民自らが手がけ、里川の自然と地域に埋もれた川の文化を復元した。 本業績は、分権の時代にふさわしく、形式的な市民参画や画一的になりがちな街づくりから脱却を図るため、計画から施工、維持管理に至るまで、多くの市民の創意工夫や自主的であるがゆえに生き生きとしたエネルギーを生かした協働・協創の川づくりとして行ってきたこと、川づくりの活動から波及し、遊びの要素も取り入れながら、地域コミュニティーの再生など地域づくり・まちづくりに寄与したことなど、まちづくりの模範的な取り組みであり、大賞に値するものと高く評価された。 |
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寝屋川せせらぎ公園と茨田樋遺跡水辺公園 | |
“寝屋川市における川づくり・まちづくり (寝屋川親水空間整備事業・幸町公園計画策定・茨田樋遺跡水辺公園整備他)”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 特別賞(市民との一体性)】 「芥川 ひとと魚にやさしい川づくり」 (愛称:芥川倶楽部) | |
芥川倶楽部 高槻市 大阪府都市整備部河川室 大阪府茨木土木事務所 | |
平成9年に河川法が改正され、治水・利水に加えて環境が内部目的化され、総合的な河川整備が始まった。地域の意見を取り入れ、地域の財産としてより良い川づくりを進め守り育てていくことが重要かつ難しい課題となっている。 芥川では、高度経済成長に伴い河川環境が非常に悪化した時期があったが、平成16年には、下水道整備による水質改善や淀川大堰の改築等により、落差工下流付近でアユが確認されるようにまで環境が回復した。これをきっかけとし、都市部における自然再生として、大阪湾〜淀川〜芥川に遡上する「鮎」をシンボルとした豊かな生態系の回復を目指し、地元住民・各種団体・行政が連携し、学識経験者も交えた検討部会を開催するとともに、土のうによる「魚(さかな)みち」づくりや外来生物の駆除活動、千人鍋のイベント等、様々な活動が実施されている。 本業績は、市民が主体となり、その熱意が市役所、さらに大阪府へと伝播した活動であることや、「自立と自律」の認識等コミュニケーションの努力がなされていること、また、この芥川倶楽部がさらに連携を強め活動を継続することにより、先進的な川づくりの事例として全国に発信されることが期待できることなど、その「市民との一体性」が、特別賞に値するものと高く評価された。 |
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土のうによる魚みちづくり | |
“「芥川 ひとと魚にやさしい川づくり」 (愛称:芥川倶楽部)”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 特別賞(市民への情報発信度)】 一般国道480号外 リフレッシュ活動 (府民と協働した美化活動) | |
和泉市父鬼町会・大野町会・側川自治会・春木川町会・若樫町会・坪井町会 和泉市 大阪府鳳土木事務所 | |
和泉市南横山地域を通過する国道480号はごみ投棄の多発区間であり、道路管理者による看板の設置やパトロールなどの対策を講じているものの、不法投棄やごみ放置はあとをたたず、道路管理者のみならず、地元住民の手によっても清掃が行われていた。また、交通安全施設の老朽化による町並み景観悪化を抑止し、地域住民の通行安全を図るためのはみ出し樹木の剪定などを行う必要があった。そこで、地元と道路管理者が力を合わせ、平成14年に「リフレッシュ活動」という地域と行政が連携した美化活動がスタートした。 第1回目の活動は、父鬼町会、大野町会、側川町会の住民約110名と道路管理者である行政機関職員50名の合計160名で不法投棄ごみの回収、側溝清掃、はみ出し枝の剪定などの活動を実施。第2回目の活動から若樫町、春木川町が加わり、それ以降、毎年府民協働の輪が拡大をつづけ、第6回目となる今年度は、坪井町会が新たに活動に加わり、総勢約550名が参加、道路延長にして約15kmに及ぶ壮大な美化活動へと展開した。 本業績は、ボランティア作業が様々な町会に伝播し継続的に発展していることや、不法投棄防止のためのユニークな看板など、その「市民への情報発信度」が、特別賞に値するものと高く評価された。 |
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側溝清掃のようす | |
“一般国道480号外 リフレッシュ活動 (府民と協働した美化活動)”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 特別賞(独自性、地域性)】 県土を学ぼう!キッズプロジェクト 丹波市立遠阪小学校 「さぐろう遠阪の道 〜むかし、今、これから〜」 | |
丹波市立遠阪小学校 兵庫県丹波県民局県土整備部柏原土木事務所 | |
兵庫県が県内の小学校を対象に実施している社会基盤学習「県土を学ぼう!キッズプロジェクト」は、河川、道路などを学習フィールドとした体験的学習をとおして、社会基盤が日常生活にどのように役立っているかを知り、子供たちに地域を思いやる気持ちを育むことを目的としている。 丹波市立遠阪小学校は、北近畿豊岡自動車道丹波市〜朝来市間の開通をきっかけに、社会基盤学習のモデル校として活動し、4年生児童が道路の役割や自分たちの暮らすまちと道路の関わりについて研究した。 児童らは、県の土木職員から道路の役割等の説明(出前講座)を受けた後、自動車道の開通前後において、実際に学校前の国道の交通量・騒音調査を実施した。また、夏休みには、家族や近所の人から、自分達の暮らすまちの移り変わりを聞いて調べるなど、学校だけでなく家庭や地域社会にまでその活動を広げた。さらに、県の主催するキッズプロジェクト発表会に参加してその成果を発表した。 本業績は、地域住民と学校、行政機関が協力して、社会基盤施設の整備効果や地域に及ぼす影響を子供たちが考え、自らが直接体験して学ぶ機会をつくったこと、子供たちが地域で学び発表することを通じてより多くの市民への普及啓発につながっていることなど、その「独自性・地域性」が、特別賞に値するものと高く評価された。 |
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交通量調査 | |
“県土を学ぼう!キッズプロジェクト 丹波市立遠阪小学校 「さぐろう遠阪の道 〜むかし、今、これから〜」”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 奨励賞】 二級河川陶器川 親しみとふれあいの創造 | |
堺市中区小阪西町自治会 大阪府鳳土木事務所環境整備グループ | |
堺市にある二級河川陶器川では、堤防法面や管理用通路が不法に占拠され、長きにわたり河川管理上の懸案を抱えてきた。しかし、地域住民や地元自治会から「一部の人達が使用して景観を損っている河川敷をキレイにしたい」という提案を受け、地元住民と意見交換会を開催。「川がキレイになるのなら、川づくりに協力したい。」と前向きな意見に、「一緒に川づくりをしましょう」と地元自治会に投げかけたところ、多数の方が賛同し、地域主導型の府民協働作業がスタートした。作業日には多くの人々が積極的に参加し、意見や提案を出す。それをできるだけ多く反映できるように行政側が協力している。 本業績は、住民が提案、相談だけではなく主体的に作業に参加していること、毎週の活動が長く継続しまちづくりにもつながっていることが、奨励賞に値するものと評価された。今後とも、住民間のコミュニケーションを広げながら、多額の費用をかけなくとも環境に優しい新しい川づくり・まちづくりを進められるとともに、他の地域にも取り組みが広がることが大いに期待される。 |
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アシュレン(下水道汚泥焼却灰レンガ)を用いた花壇や舗装の協働作業 | |
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【市民と歩む土木の業績部門 奨励賞】 市民とともにまもり育てる狭山池 〜狭山池ダムと狭山池博物館〜 | |
大阪府都市整備部河川室 | |
狭山池は、西暦616年頃に作られた日本最古のダム形式のため池で、古来より風光明媚な池として人々に親しまれる歴史ある名所である。この狭山池に治水機能を付加するため「平成の大改修」が行われたが、これに際し、「狭山池らしさの継承と創出」をテーマとした周辺景観整備や、歴史ある堤体を保存・展示し土木の歴史を情報発信する狭山池博物館の整備が行われた。 狭山池の整備を契機として、池を地域の大切な財産にしたいと願う人達が集まり「狭山池まつり実行委員会」が設立された。毎年「狭山池まつり」を開催、平成19年には延べ8万人もの来場者が訪れるなど大盛況となっている。また、月1回の狭山池ダムの堤の清掃や、夏には狭山池博物館の水庭の清掃など、地域の活動を継続的に実施している。 さらに、「狭山池さくら満開委員会」(狭山池まつり実行委員会、大阪府、大阪狭山市により構成)が設立され、狭山池のシンボルである桜の植樹・育成を中心に水辺環境をより一層魅力あるものにするため、毎年「桜の植樹祭」を開催するなど、皆で知恵を出し合って桜の植樹や水質浄化についての検討・取組みを実施している。 本業績は、狭山池の改修や狭山池博物館の情報発信をきっかけとして数々のイベントや市民と行政との協働が行われていることが、奨励賞に値するものと評価された。今後、狭山池という貴重な財産を十分活用し、さらに多くの市民に日常的にアピールを行い、市民が主体となった活動が広がっていくことが大いに期待される。 |
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月1回の狭山池清掃活動 | |
“市民とともにまもり育てる狭山池 〜狭山池ダムと狭山池博物館〜”のより詳細な説明を見る |
【市民と歩む土木の業績部門 奨励賞】 地域の特性を活かした水辺空間づくり (唐川ふるさと砂防事業) | |
唐川ホタルを守る会 太子町建設部建設農林課 | |
大阪府太子町の東部を流れる唐川では、その渓流保全整備に際し、同町の歴史的イメージを取り入れた地域に密着した親しみと潤いのある水辺空間を創出するため、在来工法の護岸工(柳枝工、編柵工、空石積工)及び環境林等による安全かつ生物にやさしい“かわづくり”が行われた。この取り組みにより、ホタルの生息が確認されるようになった。 これを契機として地域住民による環境保全の機運が高まり、地域のボランティア団体「唐川ホタルを守る会」が設立された。ホタルの保護・育成活動や河川の美化清掃活動、幼稚園、小・中学校の自然環境学習支援などを精力的に行っており、平成18年4月6日には、大阪府下で初めて砂防施設によるアドプトリバーの認定を受けた。 定期的な清掃活動や植生の維持管理の結果、年々多数のホタルが飛び交い、幻想的な夜のひとときが訪れる人々を魅了し、唐川のホタルを太子町の財産として末永く守り育てたいという住民が年々増加している。 唐川でのこの会の活動をきっかけに、同町では自分たちのまちを自分たちの手で良くしていこうという機運が高まり、多くのボランティア団体が活動するようになった。 本業績は、行政による自然環境保全の取り組みが市民に伝わり、市民参加活動へと発展し、協働によるまちづくりのきっかけとなったことが、奨励賞に値するものと評価された。今後、市民がさらに主体的に取り組まれ、他の活動の参考となることが大いに期待される。 |
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整備された唐川と唐川ホタルの会の活動 | |
“地域の特性を活かした水辺空間づくり (唐川ふるさと砂防事業)”のより詳細な説明を見る |